各種消費者トラブル

悪質商法に引っかからないために

悪質商法は接触の段階で防げる

悪質業者は、つねに騙せそうな「人」を探しています。そして接点を持つことで、仕事のチャンスを狙っています。悪質業者との接点は、次の二つのパターンに分かれます。

自発的接触

インターネットや広告を使って、出会い系サイト、パチンコ・競馬情報などのように、知らず知らずのうちに、私たちの方から悪質業者に近寄ってしまうよう仕掛けるもの。

※パチンコ・競馬情報等絶対儲かると誤認させ、アクセスしてきた人に高額な情報料を請求します。「うまくいかない」と苦情をいうとさらに情報料を請求し、「今度は絶対に儲かる」などといって、高額な情報料を騙し取る手口です。
非自発的接触

アポイントメントセールス、キャッチセールス、自宅訪問など何の準備もない無防備な状態のままに悪質業者が突然接触してくるもの。

「自発的接触」「非自発的接触」の両方の性格を併せ持つこともありえます。当選商法、デート商法、モニター商法などは、悪質業者の方から誘惑ともいえるささやきがあって、つい術中にはまってしまう場合です。

接触段階で被害に遭わないための3つの習慣

悪質商法は心のスキをついてくる

巧妙なトークと手法

あなたとの接触に成功した悪質業者は、さも親しげに、そして親切そうにあなたに近寄ってきます。この時の業者のトーク・手法は、「必ず儲かるから」「このままでは病気になる」等、あなたの抱えている不安や悩みという心のスキを巧妙に突いてきます。

また、狭い会場に人を集め、販売員(悪質業者)が巧みな話術で場を盛り上げ、高揚した雰囲気の中で冷静な判断を失わせて、購買欲をあおります。それでも契約を渋ると、今度は、言葉で威圧して契約を迫る、長時間契約するまで帰さないという手段を使ってくる場合もあります。

また、全く知らない人からの勧誘ならまだしも、友人から勧誘される場合も多々あります。いわゆるマルチ商法などは、友人の輪から被害が拡大していくので注意が必要です。最初は「被害者」であったあなたも、いつ「加害者」となって友人を巻き込み、大切な友人を失ってしまうかもしれません。

勧誘を断るコツ

「勧誘だと感じたら、できるだけ早く断る」。心が嫌だなと感じたら、即座に断った方が無難。
「今度」はNGワード。相手に気を持たせてしまうことにつながります。
「断る理由は簡潔に」。相手に反論されるきっかけを与えないコツです。
勇気を持って断ろう!

相手と争わないことを「美徳」として育ってきた人が多いと思います。こういった人は断るときもなるべく「穏便に」と考えます。

しかしよく考えてみましょう。相手が勝手に接近してきたのです。断る理由をいちいち説明して相手に納得してもらう必要はありません。説明することこそが悪質業者の思うツボです。

マルチ商法の場合、相手との関係が終わることも「覚悟」しましょう。もし、断ったことで関係が終わる程度の友達ならば、その程度の関係だったと自分に言い聞かせ、新たな居場所を見つける勇気も必要です。本当の友達関係は、その程度のことでは崩れません。

悪質業者に心のスキをつかれないための3つの勇気

いらないときには「断固断る」勇気
その場から立ち去る勇気
契約する前に自分に必要なものかどうか考える勇気
契約の前に今一度、自分に確認を

契約は、当事者間において締結される法律上の拘束力を持つ合意です。冷静な判断力を欠くときに行ってはいけません。
今、契約しようとしている商品は、

ちょっと待て その契約は 誰のため?
署名捺印(契約)する前に今一度、立ち止まって考えましょう。
その契約は、あなた自身のため?
それとも、一生懸命に勧誘している誰かのため?
契約後のお客様対応

悪質業者は「騙されて恥ずかしい」というあなたの心理を巧みに利用します。のらりくらりと解約に応じなかったり、契約の段階で、クーリング・オフの説明をしながらも、クーリング・オフしないように情で訴えたりします。また、後日問い合わせしても、クーリング・オフできない商品だと嘘をつくことがあります。

契約後の対処法

泣き寝入りはしない(悪質業者がはびこる原因です)。
不安に思ったときは、消費生活センター等の相談機関に相談する(電話でも可)。
詐欺の場合は警察・弁護士に相談する。

悪質商法の被害に遭わないために、日頃からできること
CRITICAL THINKING(批判的思考力)を身につける

毎日、ニュースが新聞やテレビ、ネットで流れています。ただ漫然と見て納得していてはいけません。事実は事実として受け止めても、その事実に隠された事実が本当はあるのではないか? コメンテーターの発言にもただ納得するだけではなく、何か疑問を探して自分の意見を作ってみましょう。

一般的にはたんなる「へそ曲がり」かもしれませんが、Critical Thinking(批判的思考力)を身につけるための訓練になります。このような思考法が自然とできるようになれば、悪質商法にもそう簡単には引っかかりません。

ワンポイント法律知識

悪質業者にしつこく勧誘されると心が折れて、つい契約してしまう人がいますが、こういった人を守るための法律があります。それが「消費者契約法」です。

消費者契約法は、ここで取り上げた悪質商法に限らず、消費者が結ぶほぼすべての契約に適用されます。例えば、悪質商法とは比べ物にならない金額が被害となる可能性のある金融商品に関するトラブルや、特定商取引に関する法律では規制できない店頭販売等も適用になることがあります。

消費者契約法(第4条消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)が事業者に禁止している行為は以下のとおりです。ここにあげた行為により消費者が誤認・困惑した場合は、消費者は契約を取消すことができます。

不実告知による誤認契約を結ぶ際に重要な事項について、事実と違うことを言われたことによって誤って認識した場合
断定的判断の提供による誤認株式投資など将来得られる利益が不確実な事項について、断定的なことを言われたことによって誤って認識した場合
不利益事実に不告知による誤認消費者の利益になることだけを言って、不利益になることを言われなかったことによって誤って認識した場合
不退去による困惑セールスマンに「帰って欲しい」と言ったにもかかわらず、帰らないことで困惑した場合
監禁による困惑「帰りたい」と言ったのに店舗や事務所から帰してくれないことで困惑した場合