悪質商法の場合は、特定商取引に関する法律(特商法※1)で規制されているものがほとんどなので、クーリング・オフができます。ただし、店頭販売や通信販売のように自分の意思で冷静に判断して契約の申込みができるような取引の場合、クーリング・オフ※2は原則として適用されません。
クーリング・オフとは契約した後、頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる特別な制度のことです。一度契約が成立するとその契約に拘束され、お互いに契約を守るのが契約の原則ですが、この原則に例外を設けたのが「クーリング・オフ」ともいえます。
クーリング・オフは、書面で出すことが条件です。正確にいうと、申し込んだ契約を取消したり、既に成立した契約を解除したりする際の意思表示を「書面」でするということです。良心的な業者は、電話でも受けてくれるかもしれませんが、これでは証拠が残りません。そこで「書面」で相手に自分の意思を伝えることが重要です。
訪問販売 | 8日 |
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電話勧誘販売 | 8日 |
特定継続的役務提供 | 8日 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 20日 |
業務提供誘引販売取引(内職、モニター商法) | 20日 |
ただし、クーリング・オフ期間が過ぎてしまったからといって、諦める必要はありません。
業者が、クーリング・オフができることをきちんと知らせていないなど、違法行為があった場合はクーリング・オフ期間が終了していない可能性があるからです。
普通郵便の料金 | (定型25グラムまで)82円 |
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内容証明 | (手紙文1枚の場合)430円 |
書留料 | 430円 |
配達証明料 | 310円 |
合計 | 1,252円 |
2枚目以降、1枚毎に260円追加となり,速達等を利用する場合は、別途料金がかかります。
インターネットから内容証明郵便を送ることもできます。
クーリング・オフが成立すると、既に払ってしまった代金やクレジットの場合の頭金が返金されます。商品は業者が引き取ります。
ただし、訪問販売や電話勧誘販売では、3000円未満の現金取引や、使用または消費すると商品の価値がなくなってしまう化粧品や健康食品を使用・消費した場合は原則クーリング・オフはできません。
悪質商法で契約してしまったものがクレジット契約だった場合、お金を払う必要がなくなるかもしれません。クレジット契約がクレジット会社を利用したモノの場合、商品に欠陥等の問題があったり売り方に問題があった場合には、消費者はその代金を支払わなくてもよいという権利が与えられています。これを支払い停止の抗弁といいます。
クレジット会社には、こういった取引をまん延させないように、取引するお店(加盟店)をしっかり管理する義務が課せられています。事情をきちんとクレジット会社に説明し、それでクレジット会社が対応してくれない場合は、最寄りの相談機関が弁護士さんに相談することをお勧めします。
悪質商法で商品を渡さないなど、ただお金をだまし取るのが詐欺です。詐欺で業者を摘発するのは警察の仕事ですが、これは容易なことではありません。1人1人の被害金額が小さいので、警察にまで行く人が少ないと、もし詐欺として摘発されたとしてもお金が戻ってくる可能性が限りなく小さいからです。
加えて微妙な被害者心理があります。被害にあったとわかった時は、誰しも動揺し、冷静な判断力を失います。これも悪質業者の狙いです。こんなつまらないものに引っかかるなんて「恥ずかしい」「人に知られたくない」という思いが、貴重なクーリング・オフ期間を逃してしまったり、泣き寝入りして債務を抱えることになったりと、状況を悪化させることがあるのです。
警察でも、悪質商法・詐欺の相談を受け付けています。被害に遭ったり、不安を感じた場合は、すぐに相談に行かれることをお勧めします。あなたが相談に行くことで、被害の拡大を防ぐことができます。
警察総合相談電話番号
http://www.npa.go.jp/safetylife/soudan/madoguchi.htm
消費生活センターは、消費者保護を目的として都道府県・市町村に設置された行政機関です。主な仕事として、衣・食・住など消費生活全般に関する商品・サービスへの苦情や相談について、問題解決のお手伝いをしています。悪質商法被害・詐欺被害も相談の対象になります。
相談は無料ですが、各消費生活センターによって、相談受付時間・受付日等には違いがありますので、事前に最寄りのセンターに電話確認してください。なお、消費者庁が実施する「消費者ホットライン」は、相談者の最寄りの消費者センター等消費者生活相談窓口につなぐ仕組みになっています。
消費者ホットライン:0570-064-370
ご自身での解決が困難だと思ったら、弁護士さんに相談することも考えてみましょう。弁護士さんが市民に提供しているサービスは、法律相談と依頼者に代わって行う事件の解決です。
弁護士さんに相談に行くときは、証拠として、
①契約に関する資料(契約書、領収書等)
②契約の対象となった商品
③業者とのやりとりのメモ(録音があればなお可)
などを持参するとよいでしょう。
法律相談は、面談して消費者が直面している問題について、解決に向けたアドバイスをしてくれるものです。原則面談ですが、電話やメールで対応してくれる弁護士さんもいます。
着手金等については、現在は自由化されているので弁護士さんによって異なりますが、多くの弁護士さんはそれでも自由化前から使われている(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を準用しています。
それによると、着手金は被害額が300万円以下の場合、被害額の8%(ただし最低金額10万円)で、報酬金は事件が解決し回収できた金額の16%です。
被害額が100万円で全額回収できた場合は、着手金10万円に加えて報酬金が16万円かかることになります。何も回収できない場合でも着手金は必要です。